研究概要 |
本研究では、屈折率が2を超える超高屈折率ポリマーの創製を目指し,主鎖がGe-Ge結合のみからなるハイパーブランチ(分岐)型ゲルマニウムポリマーにおいて,その主鎖構造や側鎖の有機置換基構造の分子設計・合成を行い,そのポリマー構造と屈折率との関係を明らかにする。さらに,そのポリマーの塗布薄膜を前駆体として,レーザー光照射や加熱処理による化学構造変化を用い,無機ゲルマニウム系薄膜への変換により,さらなる高屈折率化を行うことを目的とした研究を行った。ハイパーブランチ(分岐)型ゲルマニウムポリマーの合成は、四塩化ゲルマニウムを出発原料としてMgを用いたGrignard反応と有機臭化物を用いたキャッピング反応によって行った。これによって、種々のアルキルおよびアリール基を有するハイパーブランチ型のGe-Ge骨格を有する有機ゲルマニウムナノクラスター(OrGe)を合成した。OrGeの屈折率の評価を、プリズムカプラー法および顕微干渉スペクトル法により行った。OrGeの屈折率は有機置換機に依存し、フェニル基を有するOrGeではn=1.83という可溶性の有機ポリマーでは最高レベルの高い屈折率を達成することができた。OrGeの屈折率のさらなる向上を目指して、OrGe薄膜の熱処理によるGe骨格の構造変化についての検討を行った。熱処理に伴う有機基の脱離とGe骨格の結晶化が、FT-IRスペクトルやRamanスペクトルの観測から示され、さらなる高屈折率化の可能性が示唆された。
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