昨年度、チタン酸バリウム(BT)とチタン酸ストロンチウム(ST)を交互に積層させた2層からなる誘電体ナノキューブ(BT/ST(STナノキューブ上にBTを被覆)、およびST/BT(BTナノキューブ上にSTを被覆))を作製できたがその誘電特性を測定することはできなかった。そこで、BTナノキューブ、またはSTナノキューブのみで1軸加圧プレスによりそれぞれ集積体を作製し、その間隙に昨年度開発したSTおよびBTの被覆条件でソルボサーマル法を用いてヘテロエピタキシャル充填し、最終的に10mm径の円盤形試料を作製した。その結果、約60%の相対密度を持つ4種類の試料(BT/BT、ST/BT、ST/ST、BT/ST)の作製に成功した。しかしながら、40%近い気孔を有するため誘電特性評価のための加工が困難となった。結果として、ST/ST、およびST/BTについてP-E測定を行った結果、どちらも常誘電体的な誘電挙動を示し、どちらも比誘電率は27程度と低い値を示した。一方、BT/ST、およびBT/BTについてP-E測定を行った結果、どちらも強誘電体的な誘電挙動を示すこと、また比誘電率はBT/STでは70であるのに対し、BT/BTでは50とBT/STの方が高い比誘電率を示した。これらの結果から、気効率が40%もある状況下でのBT/STの70という高い比誘電率は、BT/ST界面が誘電特性に寄与していることを示唆する。従って、ヘテロエピタキシャル界面の寄与を確認できた。
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