研究概要 |
ダイアモンドアンビルセル(DAC)という超高圧発生装置と赤外レーザー加熱(LASER)を組み合わせたシステムによって得られる圧力10~100GPa(1GPa=約1万気圧)および温度2000~4000K程度の"超高圧超高温"の"高活性な希ガス超臨界流体"を利用して,新しい希ガス化合物の創製を目指す.特に,これまで見出されていないネオンやヘリウムの化合物の創製に挑戦する.そして,これらの結晶構造と安定性及び体積弾性特性を明らかにする 今年度は,ダイアモンドアンビルセル内に液化ガスを充填する装置を開発した.常圧で気体として存在する物質をDAC内に高密度に封入する方法として,常圧下で気体を冷却し液化して高密度な物質とし,これをDAC内に充填する方法を選択し,そのための装置の設計・開発を行った,概略は以下の通りである.DAC用流体充填装置はCCDカメラを用いることにより試料室内に流体が充填されている様子が確認できるようになっている.装置外部よりLEDを用いて光を入れ,その後装置内部までアクリル棒により導入する.導入された光はアクリル棒下端斜めに切られた部分で反射され,DACセル内部を照らす.そして,DACセル内部の様子がミラーを介してCCDへと取り込まれる.本装置の流体導入後のDACネジ締めはギアによる機構を採用している.ハンドルを用いてギア支柱を回すと,2つのネジが連動して同一方向に回転する.それにより,DACセル下部が持ち上がり,内部の対向ダイアモンドアンビルの下側が持ち上がることにより,試料室が密閉される仕組みである.これらの操作により,試料室内に導入された流体はネジによる加圧を受け密閉される.その後,ネジは閉めた状態で充填装置から取り出しDAC本体超高圧加圧用のレバーに設置する本装置の冷媒としては液体N_2(沸点:77K)を用いる.液体N_2が満たされているデュワーを減圧することで液体N_2の気化熱により77K以下の低温に温度を下げることが可能である.その結果,ガス導入パイプから導入した気体を冷却する仕組みである.これにより液体N_2以下の温度を沸点に持つ流体であっても充填が可能となっている.しかしながら,ガス吹出口周辺の最低到達温度はまだ測定されておらず今後の課題である.
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