研究概要 |
本研究は重い金属元素のバルクガラス中の歪分布を直接評価する手法を開発評価することを目的とし、第一段階として約50μm程度の微小ビームを前提とするシステムを設計した。微小高エネルギーX線による歪測定法を試みるため、入射側はブロックスリットの構成で試料側をスキャンするシステムを予定した。本年度初頭に共同研究先から供給された試料のサイズに合わせて光学系のパラメータを再検討した結果、検出系を施設のものをそのまま利用する場合には試料周りを再設計することが望ましいという結論に達し、その再設計と66keVでの歪分布測定のテスト実験の課題申請を年度後半におこなった。この申請により、第一回の測定が次年度前期に実現する予定である。また、本申請のもう一方の原理的な興味であるナノスケールの歪の存在については小角散乱法による組成分布からの分離手法の開発を進めており、2元についてはほぼ解決、3元についてはZr吸収端についての解析がZrCuPt,ZrCuAlなどの系ですすんでおり、さらに複数吸収端に関する実験データを収集しているところである。これらの結果から、急冷リボン材のような薄膜試料においてはマクロに伝播するような歪構造の特徴的なパターンは得られておらず、逆に来年度の歪分布測定から異なる応力状態にあると評価される部分から試料を切り出し、ナノスケールでの歪の違いを検討することが必要であると考えられる。
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