研究概要 |
現在、航空機エンジンや産業用ガスタービン等の熱機関の高温部は主にNi基超耐熱合金が用いられているが、エネルギー高効率化やCO_2排出削減、省資源といった環境に対する配慮から、1000℃以上でも無冷却で使える超高温材料が次世代の材料として望まれている。本研究は、高融点の白金族元素に着目し、Ni基超耐熱合金と同様のγ/γ'強化型の新しいIr-Al-W基超高温材料の研究を行った。 本年度は、基本3元系であるIr-Al-WとIr-Al-W-X(X:Co、Ni、Fe)各4元系のIr側における相平衡を実験的に決定した。Ir-Al-W系は1300℃、1400℃の状態図が決定でき、TEMによりL1_2構造γ'の相が確認できた。このγ'相はIr_3(Al,W)で表わされる3元化合物であることも判明した。また、Ir_3(Al,W)はNi_3Alと連続的に存在することが4元系の相平衡実験から明らかになった。γ'相は3元系ではγ相との格子ミスマッチの小さい整合性の高い析出物であるが、Co、Ni量が増加すると格子ミスマッチが増大することも判明した。 また、γ/γ'組織を有するIr-Al-W合金を選択して組織と強度の関係を調査した。γ'体積分率を変化させたところ、γ'分率が高くなるほど強度が高くなった。ビッカース硬度を測定したところ、室温で650Hv、1000℃で440Hvと高温でも強度低下は少なく、強度の逆温度依存性も確認できた。以上の様に、Ir-Al-W系が非常に優れた高温強度を有することがわかった。
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