研究課題/領域番号 |
21656171
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新家 光雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50126942)
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研究分担者 |
仲井 正昭 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20431603)
稗田 純子 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40566717)
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キーワード | バイオマテリアル / チタン合金 / 医療用高分子 / シランカップリング剤 / 接着強度 / 耐湿性 |
研究概要 |
本研究では、高い柔軟性や力学的強度が求められる人工腱や人工靭帯などの生体機能再建材料への応用を目指して、生体用β型チタン合金であるTi-29Nb-13Ta-4.6Zr(TNTZ)に、軟組織適合性を有するセグメント化ポリウレタン(SPU)をコーティングし、金属/高分子の複合材料の作製を行ってきた。TNTZとSPUとの接着強度を向上させるために、シランカップリング処理を行い、様々な官能基を持つシランカップリング剤を使用することで、TNTZとSPUとの界面の接着強度の官能基依存性を調べた。本年度は、作製したSPUで被覆したTNTZを超純水中に長期間浸漬させ、水への浸漬がSPUの密着強度に与える影響を調査した。 超純水中に30日間浸漬後のTNTZとSPUの界面接着強度は、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ-MPTS)を用いた場合に最も高くなった。一方、アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(γ-MPS)を用いた場合には、超純水中に浸漬することにより、TNTZとSPUの界面接着強度が低下した。X線光電子分光法を用いたTNTZとSPUの界面解析の結果より、γ-MPTSは化学的に安定であるため、超純水浸漬後も末端官能基は変化せず、良好な耐湿性を得られることが明らかになった。また、TNTZにシランカップリング処理を施す前に、過酸化水素水に浸漬させることにより、TNTZ表面に水酸基が形成され、TNTZ上に固定化させるシランカップリング剤の密度が増加し、TNTZとSPU界面の界面接着強度および耐湿性が向上することが明らかになった。本知見は、SPU被覆TNTZの実用化に対して、非常に有用な成果である。
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