ナノ領域からサブナノ領域は材料開発において非常に興味深い領域である。金属超微粒子が数ナノからサブナノ領域に入ると、電子の局在化など、電子物性が変化することが広く知られている。金属コロイドナノ粒子で光吸収シフトが見られることはその一例であり、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などで作製された量子ドットを用いた量子デバイスの研究などが、多くの研究者によって進められている。このような電子物性の変化によって、電子が関与する(電極)触媒反応にも影響が出ることが十分に予想されるが、特にサブナノ領域での極超微粒子を実際に作製することは困難であり、その電極反応特性や触媒反応活性に及ぼす量子効果などを実測した例はほとんど無いのが現状である。当グループにおいては、1~数nmの径を有する白金などの貴金属超微粒子をカーボンブラック、カーボンナノファイバー、酸化物絶縁体(TiO2)、酸化物半導体(SnO2)などの多様な担体材料上に高分散担持することに成功している。これらのオリジナルの実績と作製技術を駆使して、サブナノ領域の極超微粒子の調製にチャレンジするとともに、作製されたサブナノ微粒子を実際に用いて、電気(化学)特性や触媒活性を実測し、"量子効果"を利用した電極触媒や触媒材料、電子材料などの機能性材料設計の可能性を探索することを目的としている。平成21年度は作製プロセスの最適化に向けて、既存のカーボンブラックやカーボンナノファイバー、酸化物担体などを用いて、触媒超微粒子の高分散担持に取り組んだ。いずれも、熱処理温度を制御することによって、約1~数ナノメートルの粒子径を有する触媒超微粒子作製が可能であることがわかった。今後、更なる微細化に取り組む予定である。
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