研究概要 |
チタンの高温グリセリン溶液中における多孔質アノード酸化皮膜の形成条件について検討を行った結果,K_3PO_4を添加したアルカリ性の電解液で水分量を低減することで,多孔質皮膜の生成速度が格段に増大し,生成電圧5Vにおいて1時間のアノード酸化で12μmという厚い多孔質皮膜の形成に成功した。ただし,この酸化膜の表面は10nm程度のナノポアのみが存在し,マイクロポアが存在しないため,超撥水表面を形成することはできなかった。20Vでアノード酸化した場合,アノード酸化時に皮膜の結晶化が起こり,皮膜の生成効率が大きく低下したため,1時間後の膜厚は2.4μmとかなり小さくなった。 一方,斜め堆積法でAl-Nb合金多孔質カラム膜を形成することに成功し,規則的な六角セル状凹凸構造をもつ基板を用いることで,サブミクロンサイズのプレート状Al-Nb合金多孔質膜を得た。この合金膜をさらにアノード酸化し,ナノポアを形成することでサブミクロン/ナノ階層ポア構造を形成した。このような階層ポア構造を形成することで蒸留水の接触角が160°を上回る超撥水表面が形成できた。超撥水表面は得られたものの,表面にフッ素化したアルキルシランをコーティングしても超撥油表面は得られなかった。このコーティングはシランカップリング溶液に試料を数日間浸漬することで行ったが,単分子膜形成が理想的に起こっているかどうかの検証の必要性が明らかとなった。
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