研究課題/領域番号 |
21656183
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武藤 泉 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20400278)
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研究分担者 |
原 信義 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40111257)
赤尾 昇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80222503)
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キーワード | 蛍光分析 / すき間腐食 / 塩化物イオン濃度 / ステンレス鋼 / 窒素添加鋼 |
研究概要 |
1.蛍光イメージングプレートの開発 蛍光強度が、塩化物イオン濃度に依存して変化するキノリン系の蛍光試薬を見出した。水素イオン濃度(pH)の影響を無視できることも確認。そして、このキノリン系の蛍光試薬をSi(OC_2H_5)_4(テトラエチルオルソシリケート)+エタノール+H_2SO_4を用いたゾルーゲル法によりガラス板の片面に固定することで、塩化物イオン濃度に応答する蛍光イメージングプレートを開発した。塩化物イオン濃度は、pHの妨害を受けることなく0.01から4Mまで計測可能。また、検出感度に個体差の少ない蛍光イメージングプレートを作製できる条件(温度、撹拌条件、反応時間)を見出した。 2.腐食試験用ステンレス鋼の作製 すき間腐食の防止における窒素の影響を把握するため、マンガン添加・省ニッケル型のオーステナイト系ステンレス鋼をベースに、窒素添加材と無添加材を作製した。これらの材料のすき間腐食発生挙動を定電位分極試験で調査し、窒素添加鋼では電位が低い場合に、すき間腐食の発生が顕著に抑制されることを見出した。 3.すき間腐食発生過程の液性変化のin-situ解析 蛍光イメージングプレートをすき間形成材として、ステンレス鋼にすき間腐食を再現性良く発生させるための必要条件を見出し、in-situ蛍光分析用の電気化学セルを開発した。具体的には、蛍光イメニジングプレートを背後からサポートする治具に工夫を加えた。そして、窒素無添加のオーステナイト系ステンレス鋼に、すき間腐食が発生する際の液性変化を計測した結果、すき間腐食は、必ずしも塩化物イオン濃度の高い場所で発生するものではないことが分かった。しかも、腐食発生の発生に伴い、すき間内での塩化物イオン濃度の分布が瞬時に変化する現象が観察された。これは、すき間内の電流分布の変化に対応したものであると解釈される。
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