研究概要 |
本研究では,これまで森林や畑に捨てられる(枝打ち材,葉,もみがら,稲わら等)または産業廃棄物として処理される剪定材,食物植物の粕等の未利用バイオマス資源を高密度の耐水性を有する固形体に加工し,石炭に替わる十分な発熱量を有する低環境負荷燃料の成形技術の確立を目的とする. 平成21年度は,基礎的事項に重点を置き,固形化のメカニズムの解明と発熱量を調査した. (1)植物材料の軟化・破壊挙動の把握:植物の主要構成要素のうち熱軟化および接着剤の効果を持つリグニンが軟化する条件と金型内における材料の破壊状態を,種々の植物素材(身近に手に入る材料を用いた:樹木の皮,剪定材,雑草,茶葉,コーヒー豆粕等)の寸法・形状を変化させて,種々の条件(含水率,温度,圧力)で,密閉型単純圧縮試験,金型内で大変形(材料が細胞壁で破壊する)を伴う圧縮試験を行い,材料の軟化・破壊挙動に対する種々の影響因子を明らかにした.(2)最適固形化条件の解明:種々の条件で軟化・破壊させた素材を,上記の加工因子を変化させて密閉金型内で再圧縮し,その固形化状態を調査した.特に素材の破壊条件と加工因子および固形化との関連を調査し,それぞれの素材の最適固形化条件を明らかにした.(3)成形体の評価:上記の方法で作製した成形体の機械的特性を調べるために,硬さ試験,かさ密度測定を行った.また,成形体の発熱量の測定および燃焼実験を行った.その結果,いずれの素材においても体積当たりの発熱量が木質ペレットの約2倍、石炭の約2/3の成形体が得らることを明らかにした。また、成形体の耐水性(30分間沸騰水に浸しても形状変化が生じない)に対する最適な加工条件(水蒸気処理時間)を明らかにした.
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