研究課題
溶融塩に融解した酸化物、たとえばCaCl_2に溶解したCaO、を金属へ電気分解し、高温排ガス中に存在する二酸化炭素を還元させる還元剤として利用可能であることと、生成した炭素が新資源として鉄鉱石の還元に適用可能であることを実験により証明することが目的である。本年度は、溶融CaCl_2に0.5mol%CaOを溶解させ、9vol%CO_2-9vol%CO-Ar混合ガスを高炉排ガスに見立てて陰極に吹き込んだ。ジルコニア固体電解質を陽極として電解条件を調査した。1173Kで3.2Vを印加した場合、電解中に排出されるガス成分のうちCO_2濃度の低下があり、黒色の粉末を得た。これを粉末X線回折測定と透過電子顕微鏡で観察・分析したところ、グラファイトでありナノサイズに極めて細かな微結晶粉末と、ハローパターンを示す非晶質炭素の混合体であった。これは予定したとおり、CO_2ガスの還元生成に成功したことになる。当初、フラーレンやカーボンナノチューブの生成を期待していたが、本実験条件では現在のところ生成していなかった。生成炭素粉末を純酸素中で熱重量変化を測定したところ、約500℃で顕著な酸化反応が認められ62%もの重量減少を検出した。これは還元剤として優秀な特性である。坩堝型のジルコニア固体電解質を用いたが、陽極から排出された酸素ガスが炭素と再結合反応を生じ、反応効率の推定に問題を残した。平成22年度は、このような問題のない一端閉管型の電解質使用を計画している。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
溶融塩および高温化学 53(1)
ページ: 5-11
Proc.Processing and Fabrication of Advanced Materials XIII,(Dec.12-14, 2009, Sendai, Japan) 2
ページ: 701-710