本課題は新しい固定化遷移金属触媒(固定化シングルサイト錯体触媒)の設計・創製と高選択的有機合成プロセスの構築で、具体的には「分子量・サイズが厳密に揃った球状ポリマー表面へ固定化した遷移金属錯体触媒の精密合成と高効率リサイクル触媒プロセスへの適用」に関する。特に均一系触媒の特徴である温和な条件下での高活性や高い基質・官能基選択性を保持する担持錯体触媒の設計・創製に向け、成功例の希少なリビング重合を利用した球状ポリマーの精密合成とその末端への配位子前駆体の導入(表面修飾・官能基化)、さらに同配位子を用いる遷移金属錯体を設計・精密合成することで、高効率リサイクル型の官能基選択的な触媒的合成プロセスを確立しようと考えている。 モリブデン-アルキリデン錯体触媒(通称Schrock型触媒)を用いるノルボルネンのリビング開環メタセシス重合を利用して、ポリマー末端(表面)に官能基を有する星型(球状)ポリマーの精密合成に成功した。特に、初期計画に基づけば、各種停止剤を用いることで、官能基導入が可能となることを確認している。直鎖状ないしは星型のポリマー末端に配位子前駆体を有するポリマーの大量合成や共役ポリマー末端に配位子前駆体を有するサンプルの大量合成を行ったので、次年度は同配位子を有する触媒的有機合成プロセス(触媒のリサイクル可能な官能基選択的有機合成反応)への適用を検討して、本アプローチに有用性を実証したいと考えている。
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