研究課題/領域番号 |
21656210
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
杉山 茂 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (70175404)
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研究分担者 |
外輪 健一郎 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (00336009)
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キーワード | 触媒反応 / マイクロリアクタ / プロパン / 酸化脱水素 / プロピレン / カルシウム水酸アパタイト / マグネシウバナデート |
研究概要 |
本年度は特に、プロパンの接触酸化脱水素反応において逐次酸化の抑制による超高選択的プロピレン合成を2種類の特質を持つ触媒を用いて検討した。一つの触媒群は格子酸素の移動がほとんどない触媒であり、もう一方の触媒群は格子酸素の移動度が大きな触媒である。前者としてカルシウム水酸アパタイト(CaHAp)してマグネシウムバナデート(MgVO)通常の常圧固定床流通式反応装置を用いた場合、プロピレンの収率はMgVO>CaHApであり、特にMgVOは高プロパン変化率を示すが、プロピレンの選択率は逐次酸化のため50%台になった。さらに、双方とも触媒の量が0.5g必要であった。一方、交付申請書に記載したマイクロリアクタを用いてCaHApとMgVOを触媒として反応を行うと、CaHApではプロピレン選択率が70%を超える、従来の反応装置では考えられない高選択率でプロピレンを得ることができた。この結果に基づき、MgVOではさらに良い結果を期待したが、MgVOではプロピレンの選択率は期待したように向上せず、プロピレン収率はCaHAp>MgVOとなり、常圧固定床流通式反応装置を用いた場合と対照的な結果となった。格子酸素の移動度が大きな触媒をマイクロリアクタに用いると触媒に与えられる熱エネルギーが少ないため活性が激減するのに対し、格子酸素の移動度が少ない触媒ではそのような負の作用がなく、申請書に記載したような高選択的プロピレン合成が達成できたと考えられる。なお、マイクロリアクタを用いた場合、触媒の量は0.4mgと従来の1/1000であり、希少資源を用いる触媒化学の分野で、触媒量を著しく削減できる可能性も得た。今回検討した触媒系では、反応を継続しても、触媒が著しい劣化さなかった。したがって、劣化した触媒の再生挙動の検討は来年度の検討事項とすることとした。
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