研究概要 |
宇宙空間の軌道上で実現可能な最小単位の宇宙農場=「マイクロ宇宙農場」を世界に先駆けて検討し、農作物の「稔りモデル」を構築、必要となる無(低)重力の地上模擬実験を行うことで、将来の宇宙実験に備える。本研究では、より早期に実現可能な、宇宙空間に孤立して浮かぶコロニー型「マイクロ宇宙農場」を想定し、最小単位のマイクロ宇宙農場を実現するため、作成中のクリノスタットの運転時間を週単位で稼働できるように調整し、数週間に及ぶ微少重力下でのマメ科作物の栽培試験を行い、標準重力下での栽培状況と比較し、マイクロ宇宙農場での作物栽培の可能性を検証する。 H21年度は、クリノスタットにおける植物の重力屈性を測定するための条件検討を行うため、茎の強度が強いリョクトウを用いて重力下における植物の重力屈性を0,1,3,6,12,24,48時間後において観察し画像処理を行った。その結果、試験開始12時間後までは重力屈性が顕著にみられることが分かり、クリノスタットの回転時間を12時間と決定した。 次ぎに、作成したクリノスタット内部における植物の重力屈性を調べるため、クリノスタットのチャンバー内に、発芽直後のマングビーンを静置し、クリノスタットを稼働させ重力の影響を評価した。その結果、通常重力下では実生の伸長方向は上方向になるものが、チャンバー内ではマングビーンの実生の伸長方向がバラバラになり、微少重力の効果が出現していることが分かった。また、重力加速度においては,x軸,y軸において0に収束することが計測でわかり,物理的な測定でもクリノスタットの有効性が実証できた。
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