研究概要 |
本研究の最終目標は,地球温暖化の進行を抑制するために,石油代替エネルギーの一つとして低エンタルピー地熱資源を有効活用しようとするもので,その一環として,地熱だけで動作する自立駆動型水素吸蔵合金アクチュエータを開発し,その有効性を示すことを目的としている。このアクチュエータの駆動においては,排熱を利用するため燃料費はただであり,駆動のために二酸化炭素等の温室効果ガスも排出しない.そして得られる力学エネルギーはそのまま利用してもよいし,発電に使ってもよい.今年度は,その取っ掛かりとして,自立駆動型アクチュエータに必要とされる水素吸蔵合金の特性,合金容器の幾何学的特徴,水素ガスの流動に影響を及ぼす因子,熱交換性能の評価,現場実験に相応しい地熱・温泉地域および施設の選定を目的としてきた。当アクチュエータに求めたものは,30~50℃程度の温度差で動作が可能であるということで,これが可能となれば,今まで未利用であった地熱エネルギーや工場や焼却場において捨てられている熱エネルギーを力学エネルギーに変換することが可能となる。 本年度は,水素吸蔵合金アクチュエータの試作をおこなっており,今回は水素吸蔵合金として,使用する熱源の温度範囲からMm(La60%Nd40%)Ni5を採用した。この合金は,50℃において水素圧1MPaを発生させる特性をもたせている。合金を収納する容器や配管には熱伝導のよい銅管を用いている。安価に,そして伝熱特性を改善するために,できるだけ熱交換部の接続にはロウ付を施している。測定した合金粉末のみかけの熱伝導率は,純粋な金属に比較して2桁程度低い値を示した。 地熱・温泉地域および施設の選定においては,道南を中心に現地調査を実施し,本研究の原位置実証試験(次年度実施予定)が実施可能なサイトを選定した.
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