研究概要 |
マンガン酸化真菌Paraconiothyrium sp.WL-2 strainにより、マンガン生体鉱物を合成し、平均酸化数をシュウ酸-過マンガン酸滴定法(JIS K1467)によりもとめ、化学的に合成したδ-MnO_2の平均酸化数と比較したところ、前者の方が後者よりも小さい値をとった。Mn K-edgeのEXAFSスペクトルを吸収法で測定し、解析してMn原子の配位数を推定したところ、シュウ酸-過マンガン酸滴定法によって求めた値にほぼ一致した。La^<3+>,Ce^<3+>イオンのマンガン生体鉱物および化学合成物への吸着等温式をそれぞれ求め、イオン交換、酸化還元、表面錯形成、収着の可逆性など収着原理を考察した。La^<3+>,Ce^<3+>イオンのマンガン酸化真菌Paraconiothyrium sp.WL-2 strain自身への吸着はほとんど起こらなかった。華中農業大学(武漢、中国)を訪問し、Wen Feng Tan教授とこのテーマに関し、意見交換を行った。華中農業大学は、中国国家重点大学のひとつであり、同教授は土壌化学を専門として、Mn原子の平均酸化数の異なるマンガン酸化物を種々合成し、これを吸着体としたCr^<3+>,Pb^<2+>等の重金属イオンの吸着について研究を行っている。同教授はまだレアアースの吸着を行っていないが、中国は希土類元素の宝庫でもあり、将来スケールアップを実現させるチャンスが日本よりも高いこともこの海外共同研究のメリットである。また今年度、同教授の門下生が本学国際環境特別コース(博士課程)に入学した。第18回生物湿式冶金学シンポジウム(the 18^<th> International Biohydrometallurgy Symposium,IBS 2009)(Bariloche,Argentina)などにて研究成果を発表した。
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