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2010 年度 実績報告書

生態学的光合成作用スペクトルの測定:葉が緑である謎の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21657007
研究機関東京大学

研究代表者

寺島 一郎  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40211388)

キーワード分光学 / 光合成 / 光阻害 / 柵状組織 / 海綿状組織 / 積分球 / 蛍光分析 / 緑色光
研究概要

光合成色素であるクロロフィルの吸収スペクトルは、この色素が青色と赤色をよく吸収することを示している。このことから、「光合成には青色と赤色の光が使われる」、あるいは、「緑色光は光合成に使われない」としばしば記述される。ところが、陸上植物の緑葉の緑色光(550nm)吸収率は70-80%にものぼり(青色光や赤色光の吸収率は90%程度)、吸収された緑色光は高効率で光合成に利用される。そればかりではない。私たちの予備的研究で、強いバックグラウンド白色光の存在下では、緑色光は白色光よりも光合成速度上昇に有効であることが明らかになった。本研究の目的は、さまざまな強さのバックグラウンド光の下で光合成作用スペクトルを詳細に解析することを通して、陸上植物がクロロフィルを光合成色素としている生態学的意義を明らかにすることである。
ホウレンソウの葉を用いて以下の一連の研究を行った。
1.初年度に購入したドイツWalz社のミクロファイバー蛍光計を利用して、葉の各深さにおいて葉が自然条件に近い状態で光照射を受けた場合の蛍光クエンチング分析を行った。この装置は浜松ホトニクスの光電子増倍管を備えていて高感度だが、ノイズレベルが高く、同社の従来の蛍光計では可能であった変調されていない強光下の蛍光測定には使えない。しかし、照射光側からミクロファイバーを刺すと、この影響がかなり回避できた。したがって、光照射側からファイバーを刺し、葉の内部の蛍光測定を行った。
2.現在、光阻害の要因として、光化学系IIマンガンクラスター損傷説と、クロロフィルに吸収された余剰光エネルギー説とがあり、議論が巻き起こっている。葉に、葉緑体コードタンパク合成阻害剤の存在下で、さまざまな単色光によって光阻害を与え、ミクロファイバー法で葉の内部の光阻害の度合いを詳細に解析した。この測定によって、上記のどちらのメカニズムも光阻害作用に作用していることが強く示唆された。
3.ヒマワリでは、白色強光下で白色光内の緑色光の平均量子収率が赤色光よりも大きくなった。これが他の種でも成立するかどうかを確認した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010 2001 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Operation of dual mechanisms that both lead to photoinactivation of Photosystem II in leavesby visible light2011

    • 著者名/発表者名
      Oguchi R, Terashima I, Kou J, Chow WS
    • 雑誌名

      Physiologia Plantarum

      巻: 掲載確定 ページ: 掲載確定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intra-leaf gradients of photoinhibition induced by different color lights : Implications for thedual mechanisms of photoinhibition and for the application of conventional chlorophyll fluorometers2011

    • 著者名/発表者名
      Oguchi R, Douwstra P, Fujita T, Chow WS, Terashima I
    • 雑誌名

      New Phytologist

      巻: 掲載確定 ページ: 掲載確定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photosynthesis-dependent and-independent responses of stomata to blue, red and greenmonochromatic lights : Differences between the normally oriented and inverted leaves of sunflower.2011

    • 著者名/発表者名
      Wang Y, Noguchi K, Terashima I
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 掲載確定 ページ: 掲載確定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Leaf functional anatomy in relation to photosynthesis2001

    • 著者名/発表者名
      Terashima I, Hanba YT, Tholen D, Niinemets U
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 155 ページ: 108-116

    • 査読あり
  • [学会発表] The leaves are green so as to absorb green light efficiently2010

    • 著者名/発表者名
      Terashima I
    • 学会等名
      International Photosynthesis Congress
    • 発表場所
      中国、北京
    • 年月日
      2010-08-28
  • [学会発表] Gradienta of photoinhibitation in the interior of a leaf induced by photoinhibitaion lights of different colors2010

    • 著者名/発表者名
      Riichi Oguchi, Peter Douwstra, Takashi Fujita, Wah Soon Chow, Ichiro Terashima
    • 学会等名
      International Photosynthesis Congress
    • 発表場所
      中国、北京
    • 年月日
      2010-08-27
  • [備考] 研究室HP

    • URL

      http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/seitaipl/index.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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