研究課題
真核細胞では、タンパク質をコードしていない様々な非コードRNAが多数存在することが示されている。また、多くの非コードRNAが遺伝情報発現に関わる機能性RNAではないかと予想されている。オーキシンによる細胞分化、パターン形成に異常があり、野生型には見られない非コードRNAなどのRNAが蓄積している変異体を同定した。この変異体を用いて新規転写産物を網羅的に同定し、オーキシンによる細胞分化・器官形成制御における役割を明らかにすることを目的とし、研究を進めている。野生型と上記変異体とのRNA発現レベルを比較したところ、この変異体では野生型と比べてmRNA量が大きく増加しているものの数が、mRNA量が減少しているものの数よりも多いことが明らかになった。変異体においてRNA量が増加したもの変化量は、最大で約1000倍であった。一方、RNA量が減少したもの変化量は、最大で約25倍であった。また、極端にRNA量の増加を示したもののほとんどが、タンパク質をコードしていない領域(非タンパク質コード領域)だった。これらの中には、タンパク質コード遺伝子の遺伝子間領域や、遺伝子間領域にコードされたポリシストロニックsnoRNAを含む領域、トランスポゾンが並ぶ領域などが含まれ、野生型ではほとんど発現していない領域も多くあった。一方、mRNA量が減少したものに関してはこのような傾向はなく、大きく変化した領域はタンパク質コード遺伝子がほとんどだった。この変異体では、特定の遺伝子間領域やsnoRNAを含む非タンパク質コード領域のRMAが過剰に蓄積していたことから、同変異体の原因遺伝子は非タンパク質コード領域の発現を負に制御する機能があることが示唆された。
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Plant Cell VOL. 21
ページ: 3133-3151