研究概要 |
昨年度の解析から、哺乳類型siRNAがメダカにおいては効率の良いノックダウン効果を示さないことが示唆されたため、始めにこの点についてより詳細な解析を行った。メダカ培養細胞を用いて強制発現させたMT2-MMPおよびuPAのノックダウン効率を調査したところ、化学合成したsiRNA、miRNA発現ベクターを用いて発現させたsiRNAともにほとんど効果がないことが判明した。これらの結果から,メダカ細胞においては、哺乳類型siRNAが作用し難いことが考えられる。この理由として、メダカで作用するsiRNAの長さが哺乳類型とは異なることが考えられる。そこで、この点に焦点を絞って解析を行った。siRNA産生において重要な因子であるDicerのリコンビンナントタンパク質を用いてdsRNAの切断実験を試みたところ、20-30塩基付近に切断産物が得られたため、現在この産物の配列情報を解析中である。また、RISCの主要構成因子であるArgonaute-2のメダカ特異的抗体を作製、この抗体を用いて免疫沈降を行い、共沈してきたsmall RNA分子の長さを解析中である。これらの解析結果から、メダカで作用するsiRNAの長さを明らかにし、効率良くノックダウン可能な発現ベクター構築へと移行していく予定である。さらに、Droshaに関しても全長配列のクローニングが終了し、リコンビナントタンパク質および抗体作製へと移行した。今後は、こちらに関しても、リコンビナントタンパク質の準備ができ次第、詳細な解析を行う予定である。 マウスではトランスジェニックRNAi技術はすでに確立され、標的とする遺伝子/タンパク質の個体レベルでの解析研究が著しい進展を見せている。本研究は、マウス以外の脊椎動物でも同様の技術を確立することを目指し、メダカを実験材料に2年間の研究計画を提案した。本研究により、マウスとは異なるメカニズムがあることが明らかになったので、これを基盤としてトランスジェニックRNAiメダカの確立に向けてさらに研究を進める予定である。
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