研究課題/領域番号 |
21657020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
窪川 かおる 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30240740)
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研究分担者 |
水谷 治央 東京大学, 総括プロジェクト機構, 特任助教 (40444103)
大東 琢治 立命館大学, 総合理工学研究機構, ポストドクトラルフェロー (50375169)
大村 亜希子 東京大学, 海洋研究所, 助教 (80401298)
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キーワード | 蛍光X線 / CTスキ / Spring8 / レンダリング / トレーサー / 脳 / ナメクジウオ / ヨウ素 |
研究概要 |
本研究の目的は、微量元素の微小構造における3次元マッピング法を開発することである。そのために大型放射光利用施設(SPring8)の共同利用および立命館大学SRセンターを利用した。高感度、高分解能の蛍光X線顕微鏡の利用は、微量元素を動物の処理を経ずにそのまま観察でき、局在や量の推定に適している。さらにX線屈折コントラストCTを用いて、脳神経系の構造を観察する方法の開発を進めている。測定データは両施設で取り、解析を市販および自作の3D解析ソフトで行う。本年度は計画に沿って、以下の成果を上げることができた。(1)Spring8の2009Aでナメクジウオのヨウ素の局在を調べ、甲状腺におけるヨウ素活用の進化を示唆する結果を得ることができた。その際に、固定法を確立した。また、価数を決定し、海水中の多い元素であることを確認した。(2)立命館大学SRセンターの軟X線顕微鏡ビームラインにおいて、システムの大幅な改造を行ない、ナノメートルオーダーの空間分解能で3次元観察を行なうためのシステム構築及び、吸収端差分法を元素分析を行なうための装置整備を行なってきた。またこれに伴い、ボリュームレンダリングによる3次元再構成画像表示のための計算機環境を整備している。平成22年度は、今年度整備した装置を用いて、実際的な試料の3次元元素マッピングを行なう予定である。(3)脊椎動物およびその近縁種の3次元的な形態情報を屈折コントラスト・マイクロCT法により取得することで、生物形態の座標化・定量化を行った。CT撮影はSPring-8のBL20B2において行われ、軟組織を含む生体の3次元再構築に成功した。特に、ナメクジウオのプラスティネーション標本を用いた観察では、内部構造が比較的良好に保たれていた。以上の成果は発展途上であるが、微量元素局在の解像度は格段に増加しており、平成22年度は水谷がSPring8の2010Aに採択されたので、マイクロCT法の確立を行うことが予定されている。
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