研究概要 |
脊索動物・尾索類・ホヤでは、心臓の収縮方向が規則的に逆転することが知られている。この「収縮逆転」の生理学的機構を巡る研究の歴史は100年以上にもわたるが、依然ほとんどの部分が謎のままである。本研究は、我々が近年開発してきた膜電位プローブを用いて、ホヤ心臓の膜電位の高精細時空間測定を行い、その収縮逆転機構の一端の解明を目指すものである。昨年度までに、異なる電位依存性をもつ変異体を数種類開発し、-100mVから+100mVの広い範囲を測定対象とすることに成功している。プローブ分子を心臓に適切に発現するトランスジェニックカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)の確立を、下田臨海実験所と共同で取り組んだ。公表されているESTの発現プロファイルを参考に、myosin regulatory light chain-5,-4,myosin heavy chaln-2,遺伝子の上流配列をそれぞれクローニングし、プロモーターとしての特性を評価した。残念ながらいずれも、光計測を行うために十分な発現を示さなかった。昨年度、同様に失敗していたEF1プロモーターの長さを変えて再度、試みたところ、優れた発現を示す事がわかった。現在、ライン樹立を試みている。このように、プロモーターの選別などでとまどってしまい、計測実験まで至っていないが、今後、ラインが得られ次第、様々なイメージング、及び、生理学実験に取り組みたい。
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