前年度の実験で、森林土壌に対して、乾燥、帯水、糖添加の処理が、微生物群集の構造に対して、限定的な影響しか与えないことを確かめたので、今年度は、既存の文献調査から、土壌微生物群集に対して、最も顕著な影響を持つことが確かめられている、土壌のPHを改変する処理を実施した。さらに、培養期間も、前年の3週間から、100日間に延長し、微生物群集の反応と機能の変化を確かめた。その結果、Phを下げる酸化処理により、土壌の機能(硝化作用)が顕著に減少し、微生物群集構造も単純化することが確かめられた。 さらに、野外調査も行い、自然の土壌微生物群集においても、土壌水分、気温などに比べて、土壌Phが最も顕著に微生物の群集構造(多様性と個体数の均等度)に影響することが確認できた。 今年度中に、全てのクローン解析(16SrRNA)を終えることができなかったので、これらの結果を加えることで、微生物群集構造に対する、既存の種の反応とその場での変化(進化)がこのような環境の改変に対する反応としての貢献度を比較することができると考えている。
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