研究課題
本年度の実績を下記に箇条書きする。(1)ヒストンのGLAMP解析;ヌクレオソームはふたつのヒストンH2A-H2B二量体とひとつのヒストン(H3-H4)_2四量体からなるヒストン八量体にDNAが巻き付いた構造をとる。ヌクレオソーム構造は様々なDNA介在反応中に解体され、また再生する。その機構をヒストン-ヒストン分子間、ヒストン-DNA間の相互作用の変化の総体と捉え、このような相互作用領域に存在するヒストンのアミノ酸を個々にアラニンに置換した酵母の点突然変異株ライブラリー119株を樹立した。またヌクレオソームの表面に変異を入れた320株を合わせ、合計339株を解析し、90株のMMS感受性点変異株を同定した(Genes Cells 14,1271-1330,2009)。酵母とヒトのヒストンは90%の相同性があること、これまで解析された相同組換え酵素の欠損はMMS感受性を示すことから、本研究より酵母からヒトまで保存された相同組換え反応におけるヌクレオソーム構造変換機構の共通基盤の解明が期待される。(2)CAF-1とSgs1の欠損は著しい組換えの亢進を導く;H3-K56のアセチル化(H3-K56-Ac)に依存した姉妹染色分体間の組換え(SCR)を解析中に、DNAヘリカーゼSgs1の欠損あるいはヒストンシャペロンCAF-1の欠損により、それぞれSCRが野生株に比べて亢進することを見いだした。さらにCAF-1とSgs1の同時欠損酵母細胞ではSCRが相乗的に頻発した。これは、ヒト細胞でCAF-1とSgs1の相同遺伝子を同時に低下させることで、ヒト細胞に高効率のノックアウトを実現できる可能性を示す。次年度は、その実証に向けた研究を展開する。
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Genes Cells 14
ページ: 1271-1330
Genes Genet.System 84
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