研究課題
トランスポゾンはモデル生物研究の重要なツールとなっている。線虫C.elegans個体内での外来性トランスポゾン転移はこれまで多くの研究者が試みたが、Mos1以外に成功例がなかった。本研究の目的は、最近、開発された新規な脊椎動物トランスポゾン・トランスポゼース実験系であるメダカのTol1をC.elegansに応用して、このモデル生物での効率的な変異作成系、単一コピー遺伝子導入系、ジーントラップ法・エンハンサートラップ法を開発することである。生殖巣でのトランスポゼースの高発現はTol1をC.elegans研究へ応用するための突破口であり、本計画でもっとも重要なポイントの一つである。今年度は熱ショックプロモーターhsp16-2によりTol1トランスポゼースcDNAの発現誘導を試みた。また、Tol1トランスポゼースcDNA化学合成による配列の改変を行い、メダカ遺伝子であるTol1トランスポゼースの線虫での発現の最適化も試みた。しかし合成Tol1トランスポゼースcDNAを用いた場合、これまでのところ体細胞において従来のトランスポゼースと比べて顕著な発現の増加は確認できていない。また、遺伝子導入法としてcomplex array形成法、bombardment法を試み、トランスポゼースcDNAを発現させて次世代線虫染色体でのTol1挿入の検出を試みたが、生殖巣での高頻度のTol1転移は確認できていない。
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Proceedings IEEE international symposium on Micro-NanoMechatronics and Human Science, 2009
ページ: 326-331