研究課題
【背景】近年ヒト集団において膨大な遺伝的多型が報告されてきているが、対立遺伝子(アレル)間の機能的差違や進化的意義は不明な場合がほとんどである。【目的】メダカを用いた多型の機能差を測る実験系を構築する。【平成21年度の成果】(1)ヒト高Fst値SNPに対応するメダカの多型スクリーニング:ヒトにおいて高Fst値を示すSNPsを含む遺伝子のメダカorthologue遺伝子領域について野生集団の直接駅配列決定を行った結果、ヒトで集団間分化が進んだ11遺伝子座のうち1つの遺伝子でメダカでも高い集団間分化を示した(Matsumoto et al.2009)(2)野生メダカの集団内多様性解析:野生集団の効率的サンプリング法を選択する目的で、三谷啓志(連携研究者)の研究室で維持されている野生メダカ系統と新たにサンプリングした野生メダカ地域集団を用い、多地域から1検体ずつサンプリングする場合と1地域から複数検体サンプリングする場合を比較した結果、多型スクリーニングには後者が効率的であることを明らかにした(Katsumura et al.2009)。(3)野生メダカ地域集団試料の収集:日本列島のその他の地域(沖縄本島や岡山など)で野生メダカのサンプリングをおこなった。(4)メダカCYP遺伝子の多型スクリーニング:勝村啓史(協力者)は、ゲノムデータベースに登録された様々な生物種のCYPのアミノ酸配列にもとづく分子系統樹を作成し、クラスター・パターンとゲノム配列のシンテニー・パターンからorthologue対応関係を推定した。これらのうち4つを多型スクリーニングし、メダカCYP多型を検出した。(5)細胞系を用いた活性測定:培養細胞にGAL4/UAS系を用いてメダカCYPを導入し、活性の違いを測定した。
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BMC Research Notes 2
ページ: 88-97
Gene 443
ページ: 170-177