研究概要 |
成長がコレステロール代謝に影響することが報告されている。成長や体格の多型を詳細に検討するためには体組成の正確な把握が重要である。体組成は骨・筋肉・脂肪に分類できる。二重エネルギーX線吸収法(DXA法)は2種類の異なるX線エネルギーを使用することで骨と軟部組織とを判別し、全身の体組成を正確に測定する事ができる。今回の目的は、第二次性徴期に着目し、DXA法で測定した体組成を分析し、体組成と血清コレステロールの多型を探ることである。全身型DXA測定装置搭載バスを学校に持ち込んで体組成の測定を行うと共に、高密度リポタンパクコレステロール(HDLC)および低密度リポタンパクコレステロール(LDLC)の測定を行なった。対象は文書で同意が得られた浜松市の小学5年生216名であった。研究計画は近畿大学医学部倫理委員会の承認を得て行った。体組成測定にはHologic社製QDR4500Aを用いた。骨・筋肉・脂肪のそれぞれの量は身長と正の相関がみとめられたため、体組成を身長の2乗で割る指標(Bone mass index, BOMI ; Fat mass index, FMI ; Skeletal mass index, SMI ; kg/m^2)を分析に用いた。その結果、HDLCは、男女共にFMIと負の関係がみられ、SMIとも負の関係がみられた。また、HDLCが高値を示す者はBOMIが低い傾向をみとめた。LDLCは、男子においてにFMIと正の関係がみられた。血清コレステロール値は体組成の発達と関連していることが示唆された。
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