研究概要 |
本研究は,「1,花弁特異的プロモーター(InMYB1プロモーター)+液胞膜輸送体の制御による形質転換花きの作出」と「2,花弁特異的プロモーターの有効範囲の検定」に分けることができる. 1,形質転換花きの作出:21年度は形質転換に用いるための形質転換ベクターの作出と,形質転換材料となるアサガオの胚培養の作成を行った.当初,形質転換ではV-ATPase, V-PPase, NHX, P-ATPaseなどを個々に発現抑制することを考えたが,液胞pH変化を大きくするために,液胞膜の2つのプロトンポンプ(V-ATPase, V-PPase)を同時に抑制するよう計画変更し,InMYB1プロモーターにV-ATPaseおよびV-PPaseを発現抑制するためのRNAiカセットを組み込んだ発現ベクターを完成した.アサガオ'東京古型標準型'と'ムラサキ'の胚培養を作成し,形質転換に必要な量を増殖した.現在,これらを用いて形質転換体の作出に取り組んでいる. 2,プロモーターの有効範囲の検定:InMYB1プロモーターが,一般的な実用花きに汎用的に用いられ得るものかを確認するために,InMYB1プロモーター1kbにGUSレポーター遺伝子を結合した発現ベクター(pMYB1-GUS)を,バラ,キク,カーネーション,ストック,トルコギキョウ,リンドウ,ユリの花弁にボンバードメント法で導入した.その結果,GUS染色が,キク,カーネーション,ストック,トルコギキョウ,リンドウで確認され,InMYB1プロモーターがこれらの花きで有効であることが確認できた.バラやユリについては,現在も確認実験を続けている.
|