研究課題/領域番号 |
21658013
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研究機関 | (財)岩手生物工学研究センター |
研究代表者 |
西原 昌宏 (財)岩手生物工学研究センター, 細胞工学研究部, 主席研究員 (20390883)
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研究分担者 |
中塚 貴司 (財)岩手生物工学研究センター, 細胞工学研究部, 主任研究員 (60435576)
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キーワード | 花色 / コピグメンテーション / 転写因子 / 遺伝子組換え / タバコ / リンドウ / トレニア |
研究概要 |
無色フラボノイドのうち、コピグメンテーションに関わるフラボンとフラボノールの種類と量を遺伝子組換え手法を用いて制御することにより、花色調を改変させる手法の開発を実施した。フラボンを花弁に蓄積するトレニアにおいて、フラボン生合成を抑制しながらフラボノール生合成を付加した形質転換体を作出した。47のうち半数以上の系統において元の紫色から赤紫色への変化が認められた。色素解析の結果、フラボンの減少のみならずアントシアニジンの減少が認められ、このことが花色調に影響を及ぼしていることが示された。トレニア花弁では蓄積していないフラボノールの蓄積が認められる系統も得られたが、量が少ないため花色への影響は少ないと考えられた。対照的に、フラボノールを花弁に蓄積するタバコに、フラボノール生合成を抑制しながらフラボン生合成を付与した結果、本来のピンク花色から赤、明紅への色調の変化が生じた。4系統について色素解析を行った結果、フラボノールの減少とアントシアニジンの増加が認められた。一方、フラボンの新たな蓄積は認められなかった。さらに、フラボノイド生合成に関わる転写制御因子を利用して色調の改変も試みた。リンドウからフラボノール生合成制御因子のオルソログと推定されるGtMYB4、GMYBP3を単離した。それぞれの遺伝子をタバコに導入したところ、花弁においてフラボノールの増加とアントシアニンの減少が観察され、淡い花色への変化が生じた。一部の系統においては花冠中心部分の着色が抑制された覆輪の表現型を示した。一方、トレニアにおいては花色への影響はほとんど観察されなかった。 今回の結果から、無色フラボノイドの種類や量を制御することにより、花色調を変化させることに成功した。今後、さらにプロモーターや用いる遺伝子の組み合わせ等を改良することにより、新規の花色改変技術としての確立が可能と考えられる。
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