研究概要 |
キュウリモザイクウイルス(CMV)をアラビドプシス(Col-0)接種し,感染葉から調整したプロトプラストを使用して,ヒストンH3の9番目のlysin残基のdimethylation(H3K9me2)に対する抗体でChIP-on-Chip実験を行った.その結果,アラビドプシスの全ゲノムに広範なヒストンのメチル化が生じていることが判明した. また,別の実験から我々はCMVの2b遺伝子が効率よくsiRNAを核に運搬することを明らかにできており,このCMV感染によるヒストンのメチル化修飾に2bが関与するではないかと予想した.そこで,2bを欠失させたCMVのミュータント(H1)を作出し,同様のChIP-on-Chip実験を行った結果,予想通りにH1の感染によってほとんどH3K9はメチル化されないことがあきらかになった. 次にH3K9me2を認識する抗体とメチル化DNAを検出する抗体を使用してDuolink in situ PLAを実行した結果,CMV感染プロトプラスト細胞の核内でDNAのメチル化とH3K9me2の存在をin situで確認した.ChIP-on Chipの結果から,ヒストンのメチル化が検出された遺伝子をリストアップし,病害抵抗性やRNAサイレンシングに関与する遺伝子に焦点をあて,それら遺伝子の発現を解析した.その結果,いずれの遺伝子も発現量が抑制されていることがわかり,これちの遺伝子はCMVの感染によって2bを介した直接的あるいは間接的な制御を受けているものと結論した.
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