研究概要 |
糸状菌体内には普遍的にバクテリアが存在し、相互依存の関係にある"との仮説に基づき、まず内生バクテリアの普遍性の有無を検証するため、茨城県および青森県で分離されたメロンつる割病菌Fusarium oxysporum f.sp melonis計80菌株を試験に供した。1/2CMMY培地(cornmeal 8.5g, Agar 7.5g,Malt Extract 10g,Yeast Extract 2.0g)で3日間培養した菌体0.005gと滅菌水500μlを1.5mlチューブに入れボルテックスで物理的に破砕し、96wellプレートに粉砕細胞の入ったチューブの上清液とエンドスペシーES-24Sキット試薬を1試料につき50μl加え、測定機(Wallac)で吸光度変化を測定し、エンドトキシン量を推定した。その後、陽性を示した7菌株を任意に選抜し、16S rRNA遺伝子を標的としたプライマーセット(10F,520F,800F,1541R,1100R,907R,786R,518Rを組み合わせた:計12種類)を用いてPCR増幅を行なった。 供試した80菌株中11菌株にエンドトキシンの高活性が認められた。この中から選抜した7菌株のPCR増幅を行ったところ、520F,907Rのプライマーセットにおいてバシドが確認でき、7菌株中1菌株にポジティブコントロール(既知の内生菌保持糸状菌)と同じ位置にバンドが確認された。しかし、520F,907Rのプライマーセットはバクテリアだけでなく、ミトコンドリアの同領域も増幅されるため、クローニングを行ったところFusarium属菌の18S rRNAとStenotrophomonas maltophiliaが検出された。S.maltophiliaは水圏、土壌や植物などから検出され、今までに糸状菌内生バクテリアとして報告されているグループとは遠縁である。そのため、今後は、同バクテリアが糸状菌由来かを詳細に検証する必要があると考える。
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