研究課題/領域番号 |
21658024
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40206652)
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研究分担者 |
大塚 重人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (10313074)
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キーワード | 水田土壌 / 脱窒微生物 / 微生物共存系 / Functional Single Cell分離法 |
研究概要 |
目的:水田は、畑土壌で問題となる硝酸の溶脱や温室効果ガスのひとつである亜酸化窒素ガスの生成がほとんど見られない環境保全型の農地である。これは水田土壌の高い脱窒活性に由来し、脱窒反応において脱窒菌が重要な役割をになっていると考えられる。これまで報告されている脱窒菌は単独で脱窒能を示すものであり、異種細菌の共存状態で高い脱窒活性を示す細菌共存系についての知見はない。本研究では共存状態において、単一菌株での場合よりも有意に脱窒活性が高まる共存系を「脱窒微生物共存系」とし、その発見、機能と生態の解明を目的とした。 方法:土壌サンプルから共存系を分離する方法として、Functional Single Cell(FSC)分離法を用いた。FSC分離法では、脱窒活性を高めた水田土壌ミクロコズムに細胞分裂阻害剤を添加し、増殖しようとする脱窒細菌の細胞を伸長させ、生菌染色剤を用いて可視化し、蛍光顕微鏡下で伸長細胞をマイクロマニピュレータを用いて分離した。本研究では、あえてサンプル中で近接する複数の生菌細胞を共存系として分離した。分離した共存系について、希釈平板法により菌株の純粋分離を行い、単一菌株での脱窒活性を測定した。その後、単一菌株同士を用いて共存系を再構築し、脱窒活性を測定した。 結果:34組の共存系について純粋分離培養を行い、81菌株を得た。そのなかで2組について「脱窒微生物共存系」であることを示唆するデータが得られた。しかし、追試を行ったところ、単一菌株、共存系の脱窒活性が安定せず、「脱窒微生物共存系」として確定するにはさらなる試験が必要であると判断された。
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