研究課題/領域番号 |
21658034
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研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
神尾 好是 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (00109175)
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研究分担者 |
高橋 信博 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60183852)
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キーワード | プラズマローゲン / リン脂質 / ビニールエーテル結合 / ヒト口腔内細菌 / 認知症予防脂質 / Selenomonas sputigena |
研究概要 |
ヒト脳の神経細胞のアポトーシスの防御リン脂質プラズマローゲン(Plasmalogen;以降PLと略す)が、本研究代表者によりヒト口腔内細菌Selenomonas sputigenaに発見された。本研究で私共は、PLを安全な上記菌体から大量に常時製造し、認知症の治療および予防脂質として安価に社会に供給する。次に健常老人と老人性認知症患者間での口腔内におけるS.sputigenaを含むPL含有細菌の存在を定量的に比較検証し、老化防止におけるPL含有口腔内細菌の重要性を明らかにする。最終的にPL含有口腔内細菌のプロバイオティックスへの応用技術を開発し、ヒト認知症予防システムを構築する。本年度はS.sputigenaの培養技術の確立とPLの調製法の確立並びにPLの諸性質を明らかにした。 (1)本菌の生育は元来高価なTYM培地(1% trypticase、0.5% yeast extract、1% meat extract、0.5%NaClおよび0.5%ブドウ糖から成る培地)中で行っていたが、申請者の実験結果から、本菌は1%牛乳ホエイ+0.5%NaCl培地(pH7.0)のみで37℃で48時間の培養で生育可能であった。増殖後の菌湿重量は、TYM培地での生育量(1g/liter)と同等であった。さらに、菌体中PL含量もTYM培地での生育菌と同等(乾燥基準約4.5wt%)であることを見出した。従って、チーズ製造中で発生し低付加価値物質として取り扱われていたホエイをS.sputigenaの培地として有効利用できる。 (2)牛乳ホエイ培地での大量培養菌体から粗PL画分を調製し、S.sputigenaにおけるPLの詳細を分析した。本菌におけるPL含量、PL構成脂肪アルデヒド組成、PL構成リン脂質について分析した。PL含量は、全リン脂質の50%を占めた。 (3)本菌由来PL構成脂肪アルデヒドの分析した。偶数および奇数の脂肪アルデヒドが混在している点が特徴的であった。本菌由来PL構成リン脂質は、一次元薄層クロマトグラフィーによる分析結果より、ホスファチジールエタノールアミンおよびホスファチジールセリンであった。
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