枯草菌形質転換で新規な性質を見いだしている:1)枯草菌全ゲノム二本鎖DNAの細胞内輸送;2)Bacillus halodurans菌DNAによる形質転換(DNA相同性が低い、組換わった長さ150kb以上)。この長い距離の組換え機構の解明を第一の目的とした。また、ナノ輸送解析を第二の目的とした。 Bacillus halodurans菌DNAによる枯草菌形質転換が高頻度で生じる突然変異体を分離した。その遺伝子機能を解析するために、異種菌DNAを数百kb持つ枯草菌を供与DNA源として用いた形質転換体の解析を行い、ゲノムのほとんどが供与菌由来である株などを見出した。従って、組換えの様式は、相同的組換えではなく、相同的組み換えから複製を行う機構であることが強く示唆された。少なくとも2個の変異があり、一方は、D-ループ形成が促進されること、他方は、その後の複製に向かいやすいことが示唆された。LP形質転換に対するComFAやEcsBの役割を調べた。ComFAは、キネティックスと同時連鎖解析から単なるヘリカーゼではなく、その他の機能(例えば、ブラウン運動の歯止め)を行い、かつDNAを一方向に取り込む機能を持つと推定できた。EcsBは精製DNAによる形質転換に必須のタンパク質の輸送に直接的もしくは間接的に掛かり合っていることが示唆された。酵母と枯草菌とで生産量の異なるタンパク質をPAGEで確認した。そのタンパク質は、形質転換で輸送されるのではないかと示唆される結果が得られた。
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