ニワトリやウズラは性行動の解析に用いられ、脳内視索前野付近にオス・メスで大きさの異なる神経核が存在する。我々は鳥類トランスジェニック技術を用い、アロマターゼ遺伝子をウズラやニワトリに導入することにより、性ホルモンと二型核形成の相関を解析しようと考えた。 当初の計画ではレトロウイルスベクターを用いてウズラまたはニワトリに男性ホルモン、女性ホルモン変換酵素であるアロマターゼの遺伝子を導入し、脳内での発現、二型核の形成に及ぼす影響を調べる予定であったが、レトロウイルスベクターでは脳内への遺伝子移送効率が低いことが判明した。また遺伝子導入鳥類を得るには7ヶ月以上かかるので容易に実験結果を出すため胚又は幼鳥でのキメラの解析が便利であるが、レトロウイルスベクターでは初期胚での発現が抑制されるなどの問題が生じた。そこでこれらの問題を解決するためレンチウイルスベクターシステムを導入し、ネスチン、シナプシンプロモーターの下流でDsRedを発現する系を開発した。シナプシンについてはP19など培養細胞においてシナプス特異的発現が確認され、ネスチンについては神経前駆細胞における特異性上昇の方策を検討中である。 一方、ウズラ成鳥については脳内構造について知見が蓄積しているが胚については文献がない。そこでウズラ胚の脳の構造について解析を試みた。
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