1.ラット初代培養肝細胞を用いて、肝細胞の概日リムズ発振について検討した。 ラット初代培養肝細胞は、培養後も自律的な時計を維持していることが明らかとなった。また、細胞外マトリクスの影響を受けることが分かり、I型コラーゲン上で扁平な形態で培養すると時計発振が止まってしまうことが明らかとなった。一方、再構成基底膜ゲルであるEHS-gel上で培養すると肝細胞は立体的な形態を示し、概日リズムは維持され、ラット個体のもっていた時計を維持していた。 この原因を検討する目的で、DNAマイクロアレーを行ったところ、肝臓分化表現型に関与する多くの肝臓特異的転写因子が3次元培養肝細胞では維持されており、時計遺伝子もおおよそ正常であった。ところが、扁平な肝細胞は、肝臓特異的転写因子が、低下するとともに抑制的時計遺伝子の異常な発現が見られ、この異常な発現が概日リズムを消失させた原因であろうことが推測された。 2.摂食リズム崩壊モデルを用いて脂質代謝異常を検討した。 これまで摂食リズムを崩壊させることでコレステロール代謝に異常が生じることを明らかにしてきたが、そのメカニズムとして、時計遺伝子やコレステロール異化代謝遺伝子の概日リズムが前進していることが重要であることが示された。 中性脂質についても検討したところ、血中中性脂質も摂食リズム崩壊モデル動物で増加していた。この原因として、VLDLの肝臓から血中への放出速度の増加と、脂肪酸の異化代謝に関与する遺伝子のリズムの異常が関与していることが分かった。
|