研究課題/領域番号 |
21658057
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
窪野 高徳 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 領域長 (80353671)
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研究分担者 |
秋庭 満輝 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553)
市原 優 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (10353583)
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キーワード | スギ / 花粉症 / 雄花 / 菌類利用 / 花粉飛散防止 |
研究概要 |
本研究の目的は、スギ雄花に寄生する菌類(スギ黒点病菌;Leptosphaerulina Japonica)を用いて、人為的に雄花を殺生し、花粉の飛散を抑制する新技術を開発することである。 スギ黒点病被害発生地において、本菌の発生生態を調査した。その結果、伝染に関与する分生子は通年形成されるが、子嚢胞子は9月~10月に感染枯死した雄花上に形成されることを突き止めた。従って、本菌は、分生子と子嚢胞子の2つの胞子体によって雄花に感染していることが判明した。また、本菌は、スギ雄花の鱗片の隙間より雄花組織内に侵入し、スギ花粉粒を栄養分として生育することも明らかにした。 一方、スギ黒点病の伝染環を解明する研究を行った結果、本胞子体の雄花への感染時期は秋季10月以降と推定された。次に、本菌を用いて人為的にスギ花粉の飛散を抑える散布処理液の開発を検討した。スギ雄花の生育ステージ(生育段階)に沿って、「スギ黒点病菌糸体懸濁液に市販の大豆油を10%添加した散布処理液」を接種した。その結果、8~9月の花粉母細胞の未熟雄花では感染しなかった。しかし、10月以降の成熟した1分子細胞の花粉粒を持つ雄花で、高頻度の感染が見られた。したがって、本菌を用いた最適散布時期を10月以降の雄花成熟期と推定した。また、接種試験の結果より、雄花を人為的に枯死させ、花粉の飛散を抑制させる散布液として、「スギ黒点病菌糸体懸濁液に市販の大豆油を10%添加した散布処理液」が有効であることを立証した。本処理液をスギ苗木の雄花にスプレーで散布処理を行った結果、約35~65%の頻度で雄花を枯死させることに成功し、小規模な試験ながら、人為的に花粉の飛散を抑止させる方法を完成させた。今後は、これらの手法を実用化させるため、スギ大径木に形成された雄花を枯死させることができる最適処理液を開発し、花粉症対策の現場で活用できる技術を検討する。
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