研究課題/領域番号 |
21658067
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荒井 克俊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (00137902)
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研究分担者 |
足立 伸次 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40231930)
山羽 悦郎 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60191376)
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キーワード | 倍数体 / フローサイトメトリー / DNA量 / C-値 / 交雑種 / 染色体 / 人工授精 / 希少種 |
研究概要 |
チョウザメ類において「アポミキシス現象」の存否を検討するために、ゲノムサイズの変異を日本国内で飼育されているチョウザメ目魚類10種、ミカドチョウザメおよびカルーガの人工繁殖子孫、さらに、これら2種と交雑種ベステル(オオチョウザメ×コチョウザメ)を親魚とした交雑種子孫についてフローサイトメトリーを用いて検討した。その結果、調査したチョウザメ目魚類は二倍体(体細胞核DNA量約3-4pg)と四倍体(約8-9pg)グループに大別された。ミカドチョウザメとカルーガはおおよそ8-9pgの体細胞核DNA量を示し、既報の結果と異なり、いずれも四倍体グループの種と判断された。しかし、コチョウザメ、シベリアチョウザメ、シロチョウザメ、ベステルの標本で他の個体の約1.5倍のDNA量を持つ遺伝的三倍体が少数見られた。また、人工授精(2008年)から生じたミカドチョウザメの子孫では、遺伝的な二倍体(約8-9pg)以外に、遺伝的な三倍体(DNA量約13-14pg)、四倍体(約18pg)が生じ、種内に倍数性変異が生じていることが判明した。これらの変異は、染色体標本の観察でも認められ、遺伝的二倍体では2n=268、三倍体では3n=402の細胞分裂像が認められ、細胞遺伝学的にも変異が認められた。人工授精(2007年)より生じたカルーガ生残個体はすべて遺伝的三倍体であった。倍数性変異は交雑種ミカド雌×カルーガ雄、ミカド雌×ベステル雄でも見られた。以上の結果は、現在もチョウザメ類の種内で倍数性変異が生じている可能性を示唆している。今後、倍数性変異発現の機構を明らかにするためには、まず、人工繁殖を成功させること、DNAマーカーを用いた子孫の遺伝学的解析、染色体ペインティングを用いた細胞遺伝学的解析が必要と考えられた。
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