研究課題
「グリーンツーリズム型まちづくり」は、過疎化と高齢化、農業離れが進む我が国の農村地域における一活性化手法として、重要な役割を担ってきたといえる。隣接する中国や韓国においても、農山漁村地域の活性化を目指した観光化、そのためのグリーンツーリズム概念の政策的な利用は日本を超えるものがあり、今後とも推進傾向にある。しかしながら一部の農村地域では、「グリーンツーリズム」と称しつつも、本来の理想形態<地域住民主体で活動を行い、その地域の活性化を支援・応援してくれる都市住民との実質の交流関係>からはほど遠く、未だに住民不在・行政主導の単純な観光化施策に疲弊している現象も少なくない。本研究は、安易な観光化による地域の疲弊や成功地域の継続性における課題等を、地域社会の経営・継承という総合的な視点から捉えなおし、本来のグリーンツーリズムの日本型、アジア型の計画要件を探ることにより、『脱・グリーンツーリズム型まちづくり』の計画手法としての提示を目標としている。初年度H21年度は、これまでの「グリーンツーリズム型まちづくり」の課題抽出と分析をおこなった。1)主に文献調査を中心に、日本が歩んできたGTの政策経緯について調査分析をおこなうと共に、2)韓国・中国について、両国のGT推進行政担当部局や大学研究者等への現地インタビュー調査をおこなうことにより、両国のGT普及・振興の現状を明らかにした。また、本年度は、著者らが本研究開始以前に準備段階として調査をおこなっていた農村計画研究者の日本・中国・韓国間、意識比較について分析・考察を進め、論文としてまとめ刊行に至った。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Asian Architecture and Building Engineering, Architectural Institute of Japan Vol.8 no.1
ページ: 89-94