研究課題
初等成長力学の理論的研究では、ニュートンの運動方程式との類似性に加え、全ての項が2乗を示すことについて、相対性理論の運動方程式(全項が2乗)との類似性が示唆された。その結果、相対論と同様、初等成長力学式の項は正と負の値をとることとなり、成長速度が正・負いずれかの値をとるのは問題ないが、重量が正の値の他に負の値をとるという深刻な問題が生じた。植物が成長するために外部環境から光合成の材料(水・二酸化炭素・土壌栄養素・太陽エネルギー等)が奪われることから、この現象が負の重量で表されるとみなし、植物体と外部環境との間で重量保存則(エネルギー保存則)が成立することの帰結であると解釈した。しかし、光合成材料の実重量は正の値であるため、時間と空間に関する初等成長関数において相対成長率を負の値に変換し、時間を負の値(時間をさかのぼる)および空間を負の値(植物体の外部空間)にそれぞれ変換すると、重量が負の値から正の値に変換された。このことは植物の成長以前および植物体の外部に光合成の材料が存在することを意味し、植物の生存と成長にとって外部環境の存在とそれを準備するための時間が必須のものであることが数学的に示された。初等成長力学での正重量を保証するための3つの数学的変換操作は、量子論でのCPT変換操作(電荷反転・空間反転・時間反転)に対応するものと推察された。実験的研究では、暖地型草種として直立性のトウモロコシ(イネ科)とファジービーン(マメ科)・匍匐性のバヒアグラス(イネ科)とサイラトロ(マメ科)を異なる施肥条件下で栽培し、時間1次元と空間3次元(植物体の高さ・幅・奥行き)の成長について初等力学的解析を行った。成長速度が重量と成長加速度の積で表されるため、それら2つの要因と葉面積との関係が明らかになり、指数関数的成長現象(加速度的成長)の解析が精密化された。また、時間方向と空間3次元方向の成長解析を平等に行えるようになった。寒地型草種を用いた同様の栽培実験は現在進行中である。なお、平成21年度の実験で不十分なところがあり、平成22年度の実験で補完する予定である。
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Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University 54(2)
ページ: 353-355
ページ: 361-363