研究課題
IAPファミリーの一員であるサバイビンは、p34cdc2-サイクリンB1により34番目のスレオニン残基のリン酸化を受け、BIR結合ドメインを介して活性化カスパーゼを結合阻害することによりアポトーシスを抑制することが知られている。この蛋白質は多くの腫瘍細胞に過剰発現しており、腫瘍細胞の化学療法や放射線療法への抵抗性の一因になっていると考えられている。本研究課題は、このサバイビンのドミナントネガティブとして働くT34AサバイビンをTAT付加させ、新しい導入法で腫瘍細胞に取り込ませ、放射線の効果を評価することを目的に行われた。本年度は、インビボの実験に先立ち、p34cdc2-サイクリンB1によるリン酸化部位である34番目のスレオニン(T)をアラニン(A)へ置換したT34A変異サバイビンのN末端に膜透過性ペプチドTAT配列を付加した融合蛋白質を作成し、腫瘍治療におけるTATペプチドによる蛋白質導入技術の有効性ついてインビトロで検討した。TATペプチドを付加したサバイビン蛋白質は、サバイビン蛋白質は当研究室において以前にHeLa細胞よりクローニングされた野生型サバイビン、あるいはT34A変異サバイビンを組み込んだpCR TOPO T7ベクターと、PCR法でそれぞれにTAT配列を付加したコンストラクトから作成した。各pCR TOPO T7プラスミドコンストラクトをBL21大腸菌株に導入し、IPTGにより誘導をかけ、菌体を超音波破砕し、目的タンパク質をNi-NTA樹脂と脱塩カラムPD-10カラムにより生成した。この、精製されたTAT付加サバイビンとそのT34A変異体は、HeLa細胞株を用いた培養系で、効率よく細胞内に導入されていることが免疫染色により確かめられた。来年度は担癌マウスを用いてインビボで評価する予定である。
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