研究概要 |
ラット海馬由来HV16-4細胞を虚血環境下(2%O2、10%CO2、88%N2)で培養すると、mtDNA D-loopに高頻度に変異の発現することが明らかとなった。すなわり、通常培養では84クローン中6クローン(7.1%)に一塩基置換が起こるのに対し、虚血培養では84クローン中41クローン(48.8%)に一塩基置換あるいは一塩基欠失の起こることが明らかとなった。また、mtDNA修復機構の鍵であるDNAポリメラーゼγの酸化度は、通常培養した場合に比較して有意に高く、活性酸素(ROS)トラップ剤であるDMPO添加すると有意に低下した。さらに、DMPO添加虚血条件下におけるmtDNA D-lopの変異は28.5%(24/84クローン)、変異総数は80.730bpで27bp(変異頻度:3.34bp/10,000bp)と、非添加の48.8%(41/84クローン)、変異総数75,348bpで48bp(6.37bp/10,000bp))に比較して有意に低下することが明らかとなった。したがって、HV16-4細胞は虚血条件下でROSによりmtDNA修復機構の鍵となるミトコンドリアDNAポリメラーゼγの酸化が生じており、mtDNA D-loopの変異の原因の一つはmtDNA修復能の低下であると考えられた。
|