研究概要 |
ダイズの摘莢処理は葉身から子実への窒素転流を抑制し,青立ちを引き起こす.タンパク質分解と窒素転流にはオートファジーが関与していることから,子実肥大期のダイズにおけるオートファジー関連遺伝子(ATG)の発現に対する摘莢処理の影響を解析した.50%摘莢区ではそれらの低下抑制が起こり,100%摘莢区では低下が見られなかったことにより青立ちが確認された.GmATG8とGmATG4は無処理区で顕著な一過的発現上昇が生じたのに対し,50%および100%摘莢区では緩やかな発現増加であった.これらATG遺伝子の一過的発現上昇は,全窒素含量とSPAD値の低下と同じタイミングで生じていたことから,子実肥大期の葉の老化と葉から子実への窒素転流にオートファジーが関与していることが示唆された. アフリカ原産のマメ科作物ササゲが子実肥大期に乾燥を受けても収量の低下が小さい。その収量維持メカニズムの一つとして乾燥に応答した急速な葉の老化と葉から子実への速やかな栄養の転流が知られている。オートファジー(autophagy;自食作用)というバルクなタンパク質分解系を用い、ササゲの乾燥ストレスに伴う葉の老化促進のメカニズムにおけるオートファジーの役割を解析した.の解明を行う。ATG8i</I>(オートファジー関連遺伝子)の発現量は、コントロール区に比べて乾燥区では早期に増加し、乾燥+摘莢区では増加しなかったため、乾燥ストレスによるオートファジーの促進と、シンク器官の除去によるオートファジーの抑制が示唆された。また、芽生えをスクロース処理したところ、の発現は抑制され、ATG8iタンパク質自体は増加したこれらのことから、糖はオートファジーを抑制するシグナルの一つであり、乾燥+摘莢区ではシンク器官の除去によって糖がササゲの植物体に蓄積しオートファジーが抑制されたことが示唆された。
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