研究課題
本研究では、薬物作用のネットワークシミュレーションに基づく新たな創薬手法「ネットワーク創薬」を開拓するために、薬物-標的タンパク質-疾患関連タンパク質-疾患へと繋ぐ薬物-疾患統合ネットワークを構築し、それに基づく薬物作用ネットワークシミュレータを研究開発することを目標としている。本年度は、ネットワークシミュレータの基盤となる、薬物-標的タンパク質-疾患関連タンパク質-疾患を繋ぐ分子ネットワークの構築を図った。まず、薬物と標的タンパク質問の薬物-タンパク質問ネットワークの構築にあたって、申請者が手がけてきた「ケミカルゲノミクス情報に基づく化合物-タンパク質相互作用予測法」を、GPCRやキナーゼなど代表的な薬物標的ファミリーならびに、薬物代謝、毒性に深く関与しているCYPファミリーやトランスポータに適用し、相互作用ネットワークの推定を行った。また、標的タンパク質と疾患関連タンパク質の生体分子間ネットワークの構築のために、NCBI GEOデータベースに収められている大規模なマイクロアレイ遺伝子発現データを対象として、発現プロファイルの類似性に基づく検索と、検索結果をもとにした遺伝子間ネットワークの構築を行うシステム「GEM-TREND」を開発した。本システムは、遺伝子とフェノタイプ(薬剤応答、疾患など)間や、フェノタイプ-フェノタイプ間のネットワーク推定にも用いることができるため、GEM-TRENDの開発は、本研究の重要な成果として位置づけられる。このようにして推定したネットワークは、次年度以降の検証実験によって評価し、シミュレータの改良につなげていく。最終的に構築されるシミュレータは、病態・薬理作用メカニズムの解明および毒性などの他の薬物効果の推定にも繋がるものと期待できる。
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BMC Genomics Vol. 10
ページ: 411-411
http://cgs.pharm.kyoto-u.ac.jp/services/network/