研究概要 |
これまでに我々が精力的に推進してきた「グアニジンケミストリー」の新たな展開として、ベンゼン環のオルト位に2つのグアニジン基を配したビスグアニジン(BG)の強力な酸、および金属イオン捕捉能を利用したi)バングラディシュなどの地域で問題となっている飲料水中のヒ素汚染物質除去のための「マジックフィルター」の開発,ii)「元素戦略」プロジェクトにおける資源金属元素の選択的・効率的な回収法の確立を究極的な目的とし、本年度は以下の項目について研究を行った。 1.新規BGの分子設計と錯体の安定性についての計算化学的評価:ベンゼン環とグアニジン窒素原子との距離の異なるメチレン鎖を導入した脂肪族BGや非環状型BGなどについて、計算化学的手法により評価したところ、酸との安定性(塩基性)はメチレン鎖を導入した脂肪族BGの方がこれまでのプロトタイプの芳香族BGよりも強いことが示唆された。 2.新規BG固定化ポリマーの合成とヒ酸との塩形成試験:1.での結果を参考に、新たに脂肪族BGを合成し、それをポリマーに固定化することで、新規BG型ポリマーを調整し、ヒ酸に対する捕捉実験を検討した。 3.ICP-MSを用いたポリマーのヒ酸捕捉能の評価:2.の捕捉実験で得られたポリマーについて、酸溶液に加えてヒ酸を遊離させICP-MSにてヒ酸を同定・定量した。その結果、脂肪族BGは期待通りこれまでのプロトタイプの芳香族BGよりも強い捕捉能を示すことを明らかにした。
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