研究課題
近年の生活習慣病の増加により糖尿病疾患が増加している。糖尿病罹患患者の増加は動脈硬化症、腎不全患者数を著明に増加させており医療費の高騰を招いている。今日糖尿病の原因の一つとしてインスリン分泌不全が考えられている。近年WOSCOPS研究により水溶性HMG-CoA還元酵素阻害剤プラバスタチンが糖尿病新規発症を抑制する事が報告されているが、その作用機序は不明であった。我々は膵臓における有機アニオントランスポーターの役割を検討した。RT-PCR及び免疫染色によりラット膵臓にはoatp1,oatp2,oatp3が、ラット膵β細胞であるINS-1e細胞にはoatp3が発現していることが明らかとなった。次にラット膵β細胞におけるグルコース刺激によるインスリン分泌に対するプラバスタチンの効果を検討した。プラバスタチンにより前処理したINS-1e細胞ではグルコース刺激によるインスリンが有意に増加し、この増加は有機アニオントランスポーターの競合的阻害剤であるBSPよって抑制された。さらに同様の作用がマウス単離膵ラ氏島細胞でも認められた。さらに糖尿病モデルdb/dbマウスにプラバスタチンを経口投与しOGTT、iTTを行ったころ耐糖能とインスリン抵抗性が著明に改善した。更にラ氏島内の細胞内コレステロール濃度は低下しインスリン分泌も改善していた。以上よりプラバスタチンは有機アニオントランスポーターを介して膵細胞に取り込まれ、インスリン分泌を刺激すると考えられた。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (9件) 図書 (3件) 産業財産権 (5件) (うち外国 1件)
Drug Metab Pharmacokinet
巻: 25 ページ: 314-317
巻: 25 ページ: 274-282
Anal Chim Acta.
巻: 677 ページ: 169-175
Hypertens Res
巻: 33(11) ページ: 1206-1240
巻: 33(9) ページ: 944-952
Free Radic Res
巻: 44 ページ: 101-107
臨床高血圧
巻: 16 ページ: 96-111