研究課題
低分子量G蛋白質ADPリボシル化因子6(ARF6)は、形質膜のリサイクリングや細胞骨格の制御を介して神経樹状突起に深く関与することが明らかになってきた。本研究では、ARF6による細胞の形づくりへの機能関与とその分子機構の解明を目指す。本年度は、神経細胞の樹状突起の形成制御の分子機構を明らかにするために、活性型ARF6遺伝子を餌にして酵母ツーハイブリット法より脳cDNAライブラリーをスクリーニングしARF6の下流効果分子の同定を試みた。その結果、ミオシンVIIAの結合蛋白質として発見され、カドヘリンーカテニンと複合体を形成することが最近報告された膜蛋白質Vezatinの単離に成功した(Neurosci. Res., 2010 in press)。生化学的な解析により結合を検討した結果、Vezatinは、ARFファミリー分子のうちGTP結合型ARF6に特異的に結合すること、さらにARF6のN末端のヘリックス領域とスイッチIとIIを繋ぐinterswitch領域が結合に重要であることを明らかにした。Vezatinの神経系における遺伝子発現解析の結果、胎児期より神経系に豊富に発現し、成熟期脳では海馬に最も強い発現が検出された。さらに初代海馬神経培養細胞にVezatinを過剰発現すると樹状突起の伸長が促進され、一方、RNA干渉法により内因性Vezatinの発現を抑制すると樹状突起の分岐と伸長が抑制された。以上の結果より、VezatinがARF6の下流として樹状突起の形成に関与する可能性が示唆された。
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