NPY産生ニューロン、MCH産生ニューロン、オレキシン産生ニューロン、POMC産生ニューロンにそれぞれGFPを発現させたトランスジェニックマウスをもちいて、それぞれのGFP陽性ニューロンの活動に影響を与える分子をスクリーニングした。これらのマウスの脳スライス標本をもちいた電気生理学実験によって、活動をモニターしながら、ラット脳のペプチドフラクションを高速液体クロマトグラフィーによって分離した分画を細胞の局所に投与して活動変化を来すフラクションを同定しようと試みたが、高濃度のペプチド溶液を作用させることに伴うアーティファクトが大きく、特異的な反応を見いだすのは困難だった。そこで、投与方法を工夫し、微量のペプチドを投与できる方法を開発した。さらに、環流システムや吸引システムを改善し、少量のペプチドで十分な感度を得られるシステムを構築した。それでも無視できないアーティファクトが見られるため、オレキシン産生ニューロンにカルシウム感受性タンパク質YC2.1を発現させたマウスを用いて、カルシウムイメージング方でペプチド分画のスクリーニングを試みた。その結果、この方法でも局所投与ではアーティファクトが無視できない事が明らかになり、バス投与方を工夫し、少量のサンプルでアッセイできるシステムを開発した。パッチクランプによる細胞内記録法とカルシウムイメージング法を併用し、有効にペプチド分画をスクリーニングする方法が構築できてきたので、今後、ラット脳から、オレキシン産生ニューロンを活性化、もしくは抑制する生理活性ペプチドの探索を進めていく予定である。
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