2007年に海馬錐体細胞でTRPV4遺伝子、蛋白質が発現し、脳温を感知して活性化して細胞膜の静止膜電位を脱分極させて神経の興奮性を制御していることを報告した(J.Neurosci.2007)ので、マウスの海馬近傍に直径500μm程度の温度プローブを挿入して、自由行動下で持続的に脳温度を測定した。マウスは、1日の内で36-39度と3度にわたる脳温度変化を示し、睡眠時に低下し、活動時に上昇した。睡眠中で脳温度の低いマウスに刺激を与えて覚醒させたところ、覚醒と同時に脳温度の上昇を観察した。マウス脳での局所脳温度の測定に関する報告はなく、挿入温度プローブを改良して自由行動下での連続的脳温度測定を進めている。 昆虫も外部温度を感知して生存しており、西洋ミツバチからAmHsTRPA遺伝子をクローニングしたところ、哺乳類TRPA1のいくつかの刺激化合物と34度以上の侵害性熱刺激によって活性化することが明らかになった。脳に加えて触角に遺伝子の発現を確認した。 脳の温度変化が病態時にどのような意義をもつかを解析するために、脳ミクログリアでの種々の温度感受性TRPチャネル遺伝子の発現を解析した。
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