研究課題
本研究は、G蛋白質共役型受容体(GPCR)の細胞内輸送や遺伝子発現制御などを制御することによって細胞表面発現量をコントロールすることを目的とする。H21年度は、ロイコトリエンB4第二受容体(BLT2)を材料としたHelix8ドメインの小胞体(ER)搬出時重要性に関する研究と、G2A(G2 accumulation)受容体の単球系細胞株における遺伝子発現制御について以下の成果を得た。1)GPCRのC末端領域に存在するHelix8ドメインのER搬出における重要性をBLT2を材料として明らかにした。ERに蓄積したHelix8欠損BLT2は、特異的リガンド添加によって膜への発現量が増加したが、これはER内でリガンドが変異受容体に結合することで構造が安定化し、品質管理機構をパスすることでER搬出されたものと推察した。なお、形質膜に移送したHelix8欠損BLT2は、アゴニスト刺激によるCa2+応答能を保持していたことから、Helix8欠損BLT2は正常機能を有するにも拘らず、ERでは異常蛋白質として認識されていたことになる。2)G2A受容体はMΦに多く発現し、種々の刺激(リゾホスファチジルコリン(LPC)、低pHなど)で活性が制御される。この受容体は動脈硬化に深く関与することが最近明らかとなり、G2A受容体のMΦ内遺伝子発現制御を知ることは意義深いと考えた。まず、ヒト型G2A受容体がリンパ節、脾臓、そして単球やMΦを含む白血球に多く発現することをノザン解析で確認すると同時に、これら組織では共通のプロモーターから2つのG2A受容体をコードする転写産物が選択的スプライシングにより産生されることを見出した。これら2つのmRNAから産生されるG2A受容体タンパク質はN末端が10残基異なるが、両者間にpHやLPCへの感受性の違いは無かった。単球系細胞であるTHP-1細胞をモデルとし、G2A受容体遺伝子の転写開始点を決定後、その上流域プロモーターを解析した結果、G2A遺伝子の発現にはc/EBPα,c/EBPβ,Runx1やPu.1等の転写因子が関与することが明らかとなった。
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