研究課題/領域番号 |
21659062
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
村松 郁延 福井大学, 医学部, 教授 (10111965)
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研究分担者 |
森島 繁 福井大学, 医学部, 准教授 (50290911)
鈴木 史子 福井大学, 医学部, 助教 (80291376)
西宗 敦史 福井大学, 医学部, 助教 (40311310)
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キーワード | 神経伝達物質 / 脳スライス / 表面還流法 |
研究概要 |
脳内には多くの神経伝達物質が存在し、それらが複雑に絡み合って高次機能を営んでいる。しかし、それら神経伝達物質の相互作用・遊離調節機構に関する情報はいまだ不十分で、脳高次機能を解明するには程遠いのが現状である。その原因のひとつに、脳組織が脆弱なため、末梢組織と同様の実験系が脳切片に応用できなかったことが挙げられる。我々は、脳切片にできるだけダメージを与えない超微量表面還流装置を開発した。この装置は、脳切片を50μlという超微量のチャンバー内にセットし、絶えず新鮮な栄養液で還流するもので、神経伝達物質の遊離を高感度に測定できる。まず、ラット線条体スライスを用い、電気刺激による内因性神経伝達物質遊離を科学検出器で測定した。その結果、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、GABA、ドパミンが電気刺激で遊離されることを明らかとした。しかし、電気刺激を繰り返したときの同一スライスからの遊離は再現性が乏しく、二回目の刺激以降、遊離は著しく減少した。この減少が組織のダメージによるものか、あらかじめ^3H-dopamineを取り込ませた組織片で同様な実験を行ったところ、繰り返しの電気刺激で30分以上にわたり、きわめて再現性ある遊離が観察された。したがって、本装置を用いることにより、内在性アミノ酸の遊離は再現性が乏しいが、生体アミンなどの遊離はきわめて再現性があることが明らかになった。今後は、この実験条件で、種々の刺激による伝達物質の遊離を検討する予定である。
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